カブアンドというプラットフォームが注目されている中で、マーケターとして忘れてはならないことがいくつかあります。この新しいサービスをただ模倣するのではなく、背後にある仕組みや価値観を深く理解し、自分たちのビジネスにどう活用できるのかを慎重に考える必要があります。本記事では、カブアンドの事例を通じて、これからのマーケターに必要な視点について考察します。


カブアンドの魅力は「もともと影響力がある人」が作った点にある

カブアンドが注目されている最大の理由の一つは、その創設者がもともと影響力を持っている人物であることです。この点を無視して仕組みだけを真似しようとするのは危険です。影響力を持たない企業や個人が同じ方法で成功を収められるかといえば、答えはNOでしょう。

たとえば、人気YouTuberが新たなプロジェクトを立ち上げる際、その影響力によって初期のユーザーを簡単に獲得できます。しかし、同じことを普通の企業が行った場合、初期ユーザーを集めるだけでも膨大な広告費や労力が必要です。ここにマーケターが直視すべき現実があります。


取り入れる際の手間や労力を軽視してはいけない

新しい仕組みを導入することは、見た目以上に複雑です。カブアンドのような仕組みを取り入れたい場合、マーケターとして考えるべきなのは、その実現にどれほどのリソースを割く必要があるかということです。

たとえば、システム開発、ユーザーの教育、運用のためのチーム構築など、見えない部分で多大な努力が必要です。これを軽視して「とりあえずやってみよう」と進めた結果、失敗してしまうケースも少なくありません。マーケターは常にコスト対効果を念頭に置き、取り組むべきです。


近しいモデルのクラウドファンディングが「爆発的に流行っていない」理由を知る

クラウドファンディングはカブアンドに近いビジネスモデルとして挙げられることが多いですが、実際には限定的な成功にとどまっています。その理由を理解することは、カブアンドを模倣しようとする際の重要な示唆となります。

クラウドファンディングが広く使われているように見えても、成功するプロジェクトは全体の一部です。これは、運営側だけでなく利用者にも一定のハードルがあるからです。同じことがカブアンドにも当てはまる可能性があります。


結果として広告を出稿する企業が減るわけではない

マーケターとして、カブアンドのような仕組みが広告市場にどのような影響を与えるかを考える必要があります。一部では「広告の役割が減るのではないか」と懸念されることもありますが、実際には逆です。

カブアンドが普及すれば、それを補完する形で広告が必要になります。これはクラウドファンディングが広まった際、プラットフォーム上での広告やプロモーション活動が増えたのと同様の現象です。マーケターはこれを見越して戦略を立てるべきでしょう。


ビジネスモデルに共創の視点を取り入れる

最後に、カブアンドのような仕組みを取り入れる際に重要なのが「共創」の視点です。ただ単にユーザーを顧客として扱うのではなく、パートナーとして迎え入れる考え方が求められます。

たとえば、クラウドファンディングでは、支援者がプロジェクトの一部として関与することでコミュニティが形成されます。同じように、カブアンドを活用する際には、企業と顧客の関係を単なる取引から価値共創へと昇華させることが重要です。


マーケターに求められる視点とは

カブアンドは単なる流行の仕組みではありません。その背後には、影響力、手間、労力、そしてビジネスモデル全体を考慮する必要があります。マーケターとして求められるのは、ただ新しい仕組みを取り入れるだけではなく、その価値や影響を深く理解し、自分たちのビジネスに適応させる能力です。

これからのマーケターは、目先のトレンドに飛びつくのではなく、長期的な視点で戦略を構築していく必要があります。カブアンドが示唆するのは、そのような視点の重要性です。